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アニメ映画 「時をかける少女」 監督: 細田守 星4つ

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時をかける少女
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千昭はちゃらい不良のように描かれるのですが、終盤には文化や知性を重んじる人間であることがその言動から視聴者に伝えられ、「この時代を精一杯楽しむための方法」としての千昭の学校での「キャラクター」だったことが暗黙裡に表明されるのも面白いですし、真琴が友梨に千昭が好きなことを宣言するシーンなんかも卓越したものがあります。

都合の良いことしか受け入れられなかった真琴(悪い成績や調理実習での失敗に対して「これは例外」、タイムリープ能力を自覚すれば嫌いな夕飯を回避、千昭の告白にはまともに向き合わない)が、千昭のことが好きな友人に対して自分も千昭が好きであることを宣言する。

物事や友人に真剣に向き合うことの意味を見出した者の態度ですよね。

あまり言及されることがありませんが、千昭が最後のタイムリープを使った理由を真琴に問い詰められている際に、巧介と果歩について、「あいつら一度死んでるんだぜ」と言ったのもなかなかどきりとさせられます。

千昭でさえ、自分が未来に帰れなくなることが惜しくなり、一度は親友を見捨てたのです。

これほどさりげないシーンでも人間の弱さを描き出すなど、あまりにも隙のない構成は圧巻としか言いようがありません。

このように良い点だらけの本作ですが、星を一つ減じる致命的な欠点もあると考えています。それはもちろん、SF設定上の矛盾などではありません(最後の展開はよく考えるとSF面で矛盾していますが、本作においてそこは「奇跡」でも良いのです)。

問題は、真琴、千昭、巧介の三人があまりにも普通の高校生ではないという点です。

まず、女子一人男子二人の仲良しグループはそうそうないですし、放課後にキャッチボールなんてしないでしょう。

しかも、巧介は医学部志望でボランティア部。とても現実的ではありません。

千昭のような、「不良に見えるけど、正義感があって......」というのも(2006年当時で既に)絶滅危惧種でしょう。

こんな三人組が現実に存在していたとしても、冷静に考えれば真琴たちは「すごく変わり者グループ」であって、多くの人たちがノスタルジーや共感を覚えるのには難しい設定になってしまっています。

その感情移入こそが本作の感動を支えている点であるのに、そもそもの設定がそれを難しくしていることが残念です(それでも上述した点が十分すぎるほどその欠点をカバーするのですが)。

また、学校はその豪華さから私立の金持ち校であることが推察されますが、生徒間に偏差値や生活態度の差がありすぎです。

馴染みのない学校風景と馴染みのない生徒共存もまた共感のためのリアリティを削いでいおります。

しかし、これらの設定がこの物語の出発点、根幹を為してしまっており、この欠点が物語全体の良い点と分かちがたく結びついているということも本作の難じられるべき側面でしょう。

4. 結論

最後の段落で論じた点以外は完璧に近い作品。

細田守監督は「サマーウォーズ」や「バケモノの子」などの作品も手がけており、個人的にはこの「時をかける少女」以外は好まないどころかむしろ嫌いなのですが、ただ、この「時かけ」だけは誰もに絶対勧められる作品です。

いま少年少女である、あるいは、かつて少年少女だったならば、是非、観賞してみてください。

仲里依紗 (出演), 石田卓也 (出演), 細田守 (監督) 形式 Blu-ray

コメント

  1. 映画マン より:

    こんにちは。映画ブログを運営しているものです。
    時をかける少女は何度も観ました。数あるアニメ映画の中でも特に印象に残っている作品の1つです。
    タイムループというありがちな設定だからこそ、ストーリー展開がより複雑になっていきますね。「アバウト・タイム」もたしかそんな感じの映画だったと思います。
    タイムループが原因で様々な問題が生じながらも、何とか人生を生きていく。
    これらの映画は、非現実的な設定ながらもとてもリアルな日常や人生を描いているなぁと思いました。
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